2020年度電気通信大学 特別編入試験推薦
令和2年度(((2020年度)))入学の電気通信大学特別編入学推薦試験に合格 しましたので、主に私が受けた試験の概要について報告したいと思います。倍率は1.5倍でした。
基本情報
電気通信大学の推薦は3,4年の席次の平均が全体の20%以内であれば出願することが可能です。そもそも一般試験と推薦試験の違いは評価される項目が異なることにあります。
一般試験→面接、数学の筆記試験、物理学と化学のどちらか一方の筆記試験、英語の筆記試験
推薦試験→面接、数学の口頭試問、専門教科の口頭試問、調査書
となっています。詳しくは電気通信大学のHPにある募集要項をご覧ください。
私が志望したのはⅰ類メディア情報学プログラムでした。参考までに高専の席次は
1年...20位
2年...12位
3年... 6位
4年... 5位
とかなりギリギリなものになっています。よく受かったなぁとか思ったりしています。
志望動機
進学自体を考えていたのは2年生くらいの時で「まぁなんとなく進学したいな」とか思っていました。電気通信大学を考え始めたのは、3年生の後期くらいにおおざっぱではありますが五感を扱った人間工学についてやりたいと思い、神戸大学の塚本先生の研究室か、電気通信大学の梶本先生の研究室に行きたいと思い、この2つの大学で迷っていました。4年生時に行ったインターンシップ先の稲見研究室の稲見先生に相談したところ「学生生活を謳歌したいなら神戸大、研究を頑張りたいなら電通大じゃない?」といわれ電気通信大学を選択しました(稲見先生は元電通大の教授なので推していたというのもあったのかもしれません)。その後、やりたいことも明確になり、電通大の研究室訪問に3回ほど行き、先生方の人柄もよく研究内容もあっていたのでより一層入学したという意欲が高まりました。
また、電通大は他の大学よりも工学全体の分野をカバー(機械や物理、化学分野もやっている)しているのが特徴です。そのため、分野も細分化されていて、私の選択したi類メディア情報学プログラムはカリキュラムとして五感デバイスの制作があったり、ARやVR、SRといったxRなども学べるため魅力的でした。他にもii類のセキュリティ情報学プログラムはその名の通りセキュリティについて学べるのですが、編入可能な国公立大の中で研究室でなく教育プログラムとしてセキュリティが入っているのは珍しいです。
受験勉強について
詳しいことは別の記事に書こうと思いますが、一般試験を受ける前提として勉強をしていました。高専の先生からは「電通大の推薦はうちの学校なら1位でも受かんないよ(笑)」と言われていたので、推薦は落ちる前提で一般試験の勉強を4年生の春休み(5年生になる直前)から始めました。
推薦の試験内容
上記の通り面接、数学の口頭試問、専門の口頭試問に分かれています。試験内容が類ごとに異なります。i類は数学の口頭試問が例年大門2個各5分でそれぞれ微分積分、線形代数、専門は情報でこちらも大門が2つで各5分となっています。ii類はこちらのページを参考にしてください。昨年度のii類体験記です。ヨッシーの日記
i類の推薦を受けるうえで注意しておきたいことは問題を解いている最中でも5分経過したら区切られ、次の大門を解くように指示されることです。また、大門自体は5分で解ける内容にはなっていません。そのため、解き終わらなかったから不合格ということはないので安心して解きましょう。
面接
面接官は3人でした。どの先生も優しく、終始和やかに進んでいきました。対策としては一般的に聞かれるような質問の準備をしておくといいと思います。また、複数の先生に面接対策をお願いしましょう。過去に聞かれた質問をリストにまとめて、そこをベースに練習しましょう。時々、不意打ちのような質問をしてもらい急な質問にも対応できるようにするといいと思います。卒研自体はどの年も聞かれているので指導教員と内容と先行研究や関連研究を詰め、内容+仮説が話せるようになるといいと思います。
- 大学自体の志望動機とコースの志望動機
少し長く話したので短くまとめると
- 研究室(大学自体)
- 今まで様々なイベントでお会いしている内部生が独創的で、ともに切磋琢磨したいから(大学自体)
- 五感デバイス、およびメディアの作成というコース内容(コース)
の3点に分けて話しました。
- (話の流れで)電通大にきたことはあるか
ある。3回ほど研究室訪問を行ったり、行きたい研究室の教授と面談をしたことを話しました。
- コースのカリキュラムに期待していること
離散数学をはじめとした数学系、アルゴリズム、特に期待しているのは自分自身が興味のある人間の身体情報についての講義。
- 使用している開発言語
特に開発するうえでの言語のこだわりはなく作成物によって適切なものを使うことを心掛けている。授業ではC、C++、Java、個人的に作品を作成したり、イベントで開発するうえでPython、Kotlin、卒研ではC#を使っていると話しました。
- 卒研の概要
割愛しますが、概要と自分の仮説を答えました。(突っ込まれることを想定したのですが何も突っ込まれなかったため安心しました。)
私の高専は確率統計について深くやっていないため概要だけやっただけだが好みだし、微分積分、線形代数も好きだと答えました。
- (聞かれたか定かではないですが)高専時代に苦手だった教科
今は特にないが、編入勉強を始めるまでは公式をただ使うイメージだった電磁気学や線形代数が苦手だったが、電磁気学は微分積分を使うことで様々なことがわかり楽しく、苦手ではなくなり、線形代数は基底などを学んでから理解が深まり苦手でなくなったことを話しました。
- 自分が参加した学会のイベントについて
面接というよりおしゃべりみたいな感じだったので割愛します。
- 院への進学
将来的に博士までを考えているが社会経験を積みたいため、ストレートでは修士課程までを考えていることを話しました。
- 将来どうしたい
[具体的な企業名]でデバイスの開発したいこととその理由も話しました。
数学の口頭試問
i類の数学は上記の通りになっていますが、ii類は10分間で微分積分か線形代数の選択になっているのでii類を受けたい人は勘違いしないでください。(私はii類の記事を参考にしていたため、i類の先輩に聞くまで選択だと勘違いして線形代数のみを勉強していました...)
面接官は3人で正解していても特に何も言われないため間違えているんじゃないかとヒヤヒヤしてました。
今までのi類の口頭試問の内容は微分積分がの微分積分や、やの増減表を書いて変曲点や概形、とある線で囲まれたところの面積を求めるのが主流でした。今年もこの傾向通りでしたが答えがあまりにも汚かったため計算ミスを何回か疑いました。そのため、(2)を解いている最中で5分経過し打ち切られました。
1.
(1)このグラフの極値を求めよ
極大値:
極小値:
となります。
(2)このグラフの概形をかけ
Desmosを使用しました。2回微分して変曲点を求めて増減表を書きましょう。この際にロピタルの定理を使ってと求めることができます。
(3)x軸とで囲まれた面積を求めよ(うろ覚え)
部分積分するととなるため面積は
2は線形代数なのですがi類の傾向としては行列があって固有値を出したり固有ベクトルを求めたり対角化をしたり、対角化といっても対称行列で直交行列を用いたものがあったりとあったのですが今年は過去の傾向と異なり、動揺して私は1問も解けませんでした。受験が終わってすぐに思いついたのでとてもショックでした。また、今年のii類の推薦の線形代数の問題も傾向と異なったようです。
こちらをご覧ください。Nnn425's diary
2.
\begin{pmatrix}
a&b \\ c&d
\end{pmatrix}
(1)
\begin{pmatrix}
-1&0 \\ 0&-1
\end{pmatrix}があるとしたときそれを満たすは何個あるか
\begin{pmatrix}
x&0 \\ 0&y
\end{pmatrix}としたとき
\begin{pmatrix}
x^n&0 \\ 0&y^n
\end{pmatrix}となるので
\begin{pmatrix}
(-1)^\frac{1}{2}&0 \\ 0&(-1)^\frac{1}{2}
\end{pmatrix}となるため行列は
\begin{pmatrix}
i&0 \\ 0&i
\end{pmatrix}となり条件を満たさないため存在しない。
((1)の答えが「0個または存在しない」っていやらしいですね。)
(2)覚えてないです
(3)覚えてないです。
専門の口頭試問
専門は上記の通り情報なのですが具体的に傾向として進数計算、アルゴリズム、C言語の穴埋めを主に出ているように感じました。情報の勉強は高専の授業で扱った論理回路の教科書、アルゴリズム図鑑を主に使用していました。アルゴリズム図鑑は少しコスパが悪いので図書館で借りるようといいと思います。それに追加して基本的なオーダー一覧、IEEE浮動小数点数、ソートアルゴリズムの限界(別の記事で書きます)について勉強しました。今年もだいたい傾向通りだったと思います。1.は(4)の途中、2.は(3)の途中で終了しました。
1.
(1)10進数の255を2進数8bitで表せ
(2)10進数の-1を2進数8bitで表せ
(3)符号付き8bit2進数の最大値、最小値を求めよ
8bitで表せる数字は
最大値 127
最小値 -128
(4)覚えてないですがシステム図があってどのような命令を送れば進数計算ができるか
みたいな問題でした。レジストリがなんちゃらとかシステム図にあった気もします。
面接官の人に「アセンブラの話はダメだからねw」と言われました。(そんな低級言語やってないよ...)
2.バブルソートのコードが乗っていました。
初期データ 1,5,3,4,2(うろ覚えです)
(1)配列nのi番目とj番目の要素を交換するコードを完成させなさい
i,j番目といわれて厳密にはn[i - 1]となるのですが仕組みだけの説明だと思ったので
int t;//値を一時保存する
t = n[i];
n[i] = n[j];
n[j] = t;
(2)実行するとどのように数字が移動するか示しなさい
コードの通り数字を書きます。
13425//1ループ目
13245//2ループ目
12345//3ループ目
(3)ループ回数が要素数をなぜ超えないか
1回のループでソート済みの数字を除いた要素の最大値が右端にソートされ、ソート済みとなる。要素数nの最悪の場合でもn-1回目のループで残り2つの要素の大小関係で比較するのみなため、このループで2つの要素がソート済みとなるためループ回数が要素数を超えない
と回答しましたがそれを言ったら終了しました。先生に聞いてみようと思います。
(4)が存在したかすらも覚えていません
まとめ
ここまで色々と書きましたが、他の受験生がどれくらい回答していたのかわからないので推薦の評価は定かではないですが、「席次込みの調査書」3割、「口頭試問」6割、「面接」1割くらいだと思います。私自身の戒めでもありますが過去の口頭試問の傾向をみて安心するのではなく、どんどん内容を突き詰めて自分がやりすぎだと思うくらいやりましょう。
面接で訪問経験があるかを聞かれることもありますが本当に受験したいかを決定するために一度、電通大に足を運んで大学の雰囲気を感じたり、研究室を訪問してお話をするといいと思います。自分の意思を固めましょう。
私は受験時の情報収集としてTwitterを活用していたのですが、SNSを有効活用することがいいかもしれません。もしなにかありましたら私のTwitterに気軽にDMを送ってください。